『システムトレード基本と原則』の著者ブレント・ペンフォールドによると、トレードの核心は支持線(サポートライン)と抵抗線(レジスタンスライン)の水準を見極めることだそうです。
なぜならトレーダーは、これ以上価格が下がらない(上がらない)という水準を見極めて、買う(売る)からです。
逆に損切りをおくポイントは、支持線か抵抗線になりそうな水準が突破しそうなところに置きます。
ですからトレーディングとは、「水準を見極める作業に他ならない」と著者は述べています。
そして、この支持線や抵抗線を判断する際に利用されるのが『ライン』です。
ひとえにラインといっても、水平線やトレンドラインに切り上げ(下げ)ラインなどの種類があります。
そのなかでも一番重要なのが『水平線』です。
そこでこの記事では、シンプルに水平線を引くための3つのポイントをご紹介します。
水平線をマスターすれば、どの通貨ペアや時間軸でも、同じ基準で引くことができ、安定したチャート分析ができます。
ぜひ参考にしてみてください。
1.ラインがもつ有効性
チャートにラインを引くのは、他のトレーダーたちと同じ判断をする『基準』となるからです。
なぜ『基準』が必要なのでしょうか?
それは相場が『多数決の原理』で動いているからです。
例えば、価格が上昇するのは「上にあがる」と考えているトレーダーが多いからです。
下降する場合も同じで、下がると考えているトレーダーが多ければ、チャートは下降します。
このように相場は多数決の原理で動いているわけですから、皆が買うところで買い、売るところで売ればいいだけです。
それでは多数決の原理に従って、相場に参加するにはどうすればいいのでしょうか?
適当に売ったり買ったりする勘に頼ったトレードでは、ただのギャンブルです。
ギャンブルでは安定した勝ちは望めません。
ギャンブル性をなくすためには、買いで攻めるのか、売りで攻めるかの『判断基準』が必要です。
そして判断基準は、多くのトレーダーたちと同じ判断ができるモノでなければなりません。
そこで使われるのが『ライン』です。
1.1 ラインが有効な理由
FXでトレードをするための手法(基準)は、数えきれないぐらいありますよね。
移動平均線を使ってトレードする人もいれば、MACDなどのオシレーター系を併用したり、システムに頼る人もいます。
では、あなたが使っている手法と同じ手法を採用しているトレーダーは、世界中にどれぐらいいるでしょうか?
どんなに有名な手法でも、別のルールでトレードしている人はたくさんいます。
つまり、どの手法でも全員が使っているわけではないということです。
しかし『ライン』に関しては、ほとんどのトレーダーが使っています。
別の手法を使っていても、おそらくラインは引くのではないでしょうか?
【移動平均線+ライン】、【移動平均線+MACD +ライン】
などの組み合わせをしていると思います。

ですから、多くのトレーダーが利用しているラインを基準に判断すれば、それだけ『多数決の原理』に従ったトレードができるというわけです。
1.2 ラインの種類
ラインにはいくつか種類があります。
- 水平線
- トレンドライン
- チャネルライン
- 切り上げ/切り下げライン
など、いずれのラインでもサポートライン・レジスタンスラインとして機能するという役割をもっています。
下の図を見ていただくと、ラインで反発したり、ラインを抜けて大きく動いたりしているのが分かりますよね。
1.水平線

2.トレンドライン

3.チャネルライン

4.切り上げ/切り下げライン

上記ラインの種類の中で最も重要なのが『水平線』です。
1.3 水平線が重要な理由とは
ラインのなかで、水平線が一番重要です。
なぜなら、水平線は縦軸(価格)に対して引くからです。

トレンドラインなどは、縦軸(価格)と横軸(時間)に対して引かれますが、横軸は時間を表していますから、経過とともに価格は変動しますよね。
ですが、水平線は縦軸のみで判断しているので、時間は関係ありません。
つまり意識されそうなライン(価格)が固定されているということです。
このような意識されそうなラインは、当然トレーダーたちが注目しているので、注文がたまりやすいといえます。
あなたも注文するときは、価格がいくらになったら買おう(売ろう)と考えるでしょう?
もしも横軸(時間)を中心に考えたのなら、いつ(何時何分)注文するかということになりますから、誰もが縦軸(価格)を基本に考えているのがわかりますよね。
ですから、ラインのなかでも水平線が最重要といえるのです。
2.水平線を引くときの3つのポイント
水平線を引くには、意識されている価格に引くことが大切です。
では、意識されている価格とはどういったものでしょうか?
水平線の基本は、高値・安値に引いていくのですが、そのなかでも次の3つのポイントを意識して引いていきましょう。
- 押し安値・戻り高値
- 何度も止められているところ
- キリのよい数字
2.1 押し安値・戻り高値
押し安値・戻り高値とは、ダウ理論の考え方です。
ダウ理論では、押し安値・戻り高値で『買うか、売るか』の目線の切り替えをしています。
目線が切り替わるポイントだからこそ、多くのトレーダーが注目しています。

ですから、押し安値・戻り高値には水平線を引いてわかるようにしておきましょう。
また、ダウ理論についてはこちらの記事で紹介しています。
2.2 何度も止められているところ
チャートをよく見ると何度も同じ価格で止められているのを見かけます。
何度も止められているということは、それだけ多くのトレーダーに意識されているポイントです。

何度も止められているポイントは、チャートの左側を見ればすぐに分かります。
また、見る時間足を変えることで、止められているポイントがはっきりと見えることもあります。
逆によくわからないポイントに無理に水平線を引く必要はありません。
大切なことは、他のトレーダーたちも意識しているポイントなのかどうかですから、あなただけの水平線を引いても意味がありません。
ちなみに上記の例では、何度も止められているラインと押し安値のラインが重なっているので、より強力なサポートラインとなることが想定できます。
ですから、このライン付近では不用意に売りで仕掛けることは危険という判断にもなりますね。
2.3 キリのよい数字
キリのよい数字とは、例えば100円とか100.50円などのことです。キリのよい数字は、指値注文などにもよく利用されるので、動きが起こりやすいポイントです。
それだけにトレーダーたちも注目しています。
キリのよい数字もサポート・レジスタンスラインとして機能しやすいといえます。

上図を見ると黄色ラインは、3つのポイントすべてが当てはまっています。
つまりカンタンには下に抜けない信頼できるサポートラインといえますね。
このように水平線引くときは、高安値と上記3つのポイントを意識しながらチャートに描いてみましょう。

水平線を引くことで、下値を支持されるライン(サポートライン)と上値を抑えられるライン(レジスタンスライン)が分かりました。
このように水平線を引けば、どの価格帯でトレーダーたちが参入してくるのか意識できます。
そのためトレードシナリオも立てやすいといえます。

例えば上記の例であれば、黄色ラインを背に「買い」で攻め、下に抜かれたら「売り」で攻めるというシナリオが立てられます。
決済目標もそれぞれのレジスタンスラインとサポートラインにすることで、リスク・リワードの管理も容易です。
3.チャートに波を描こう
先ほどは、水平線を引くときに意識したい3つのポイントについて紹介しました。
ですが慣れないうちは、いきなり水平線をどこに引けばいいか迷うかもしれませんね。
ですから、まずはチャートに波を描くところから始めましょう。

いきなり水平線を引くのは難しい…

まずはチャートに波を描いてみる。
チャートは波を作りながら上下に動いています。
たとえどんなに勢いよく上昇しても、必ず下降するのです。
逆も一緒。
上がったり、下がったりを繰り返しながら波を作っていきます。
まずはこの波をチャートに描いていきましょう。
そして、波の山(高値)と谷(安値)に水平線を引きます。

これだけでも十分機能する水平線が出来上がります。
ここから先ほどの3つのポイントに注意しながら水平線を引くとよいでしょう。
そうすることで上昇(下降)の起点や意識されるラインがわかります。
波の描き方がわからない場合は、『多数決の原理』を思い出してください。
誰もが意識する高安値に引いていくことが大切です。
また波を描く際には、ZigZagなどのツールは利用せずに、自分で引いてみてください。
上達のスピードが全然違いますし、慣れてきたらいきなり水平線をひけるようにもなります。
4.水平線の使い方と注意点
水平線の引き方はお分かりいただけたでしょうか?
ここからは水平線の使い方と注意点をご紹介します。
4.1 水平線を節目として活用しよう①
水平線には、サポート・レジスタンスラインの役割があります。
トレードをする際には、サポートラインを背にした買い(ロング)とレジスタンスラインを背にした売り(ショート)が基本です。
「そんなこと当たり前じゃないか!」という方もいますが、実際のトレードでは、この逆をするトレーダーは結構います。
サポートラインが近いのにショートを仕掛けたり、抜けると信じてレジスタンスライン近辺でロングを保有したり、思い当たることはありませんか?


また、サポート・レジスタンスラインから離れているのに、ポジションをとる方も多いといえます。
サポート・レジスタンスラインは、損切りラインとしても活用するので、ラインから離れたところでポジションをとるのは、リスクを取りすぎとも考えられます。

このように水平線を意識するだけでもトレードシナリオはかなり違ってきますよね。
4.2 水平線を節目として活用しよう②
水平線はサポート・レジスタンスラインの役割をもっており、注文が集中するポイントです。
そのため、水平線を抜けると損切りを巻き込んで大きく動くことが多いといえます。
仮に水平線を抜けると、そのポイントでの勝敗がついたわけですから、次の水平線を目指して動く可能性が高くなります。

また逆に、水平線で止まるようなら反転する可能性が高くなるといえます。

FX初心者は、水平線を抜けることを期待してポジションを保有しがちですが、水平線を抜けるかどうかは上級者でも判断が難しいものです。
ですから、経験を積むまでは水平線を決済目標とするのがよいでしょう。
もちろん水平線を抜けていくこともありますが、その場合は次の水平線を目指す値動きを狙えばいいだけです。
そうすることで、安定した勝率につながります。
4.3 水平線を使ったトレードでやってはいけないこと
FX初心者が、水平線を使ったトレードでやってしまいがちなのが、ラインに触れた瞬間エントリーしてしまうことです。
確かに水平線は反発しやすいポイントです。
しかし一方で、抜けると大きく動くポイントでもあります。
すぐに損切りできるのであればいいのですが、初心者ではそれが難しいのが現実です。
慌ててエントリーしなくても、流れが反転するときは、下値や上値を何度か試しながら反転していきます。
俗にいうダブルトップ(ダブルボトム)や山川などですね。

大切なのは、一回のトレードで大きく稼ぐことではなく、安定して勝ち続けることです。
そのためには、水平線にタッチしたらエントリーするのではなく、しっかりと値動きを確認してからエントリーするように心がけましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
FXは「サポート・レジスタンスラインだけでも勝てる」といわれるぐらい、ラインは重要です。
ラインのなかでも水平線のスキルは、安定して勝ち続けのに必要不可欠です。
本日のまとめです。
◎水平線の重要性
- トレーディングとは、支持線と抵抗線の水準を見極めること
- 水準の見極めには「ライン」が有効
- ラインのなかでも水平線は最重要
◎水平線を引くときの3つのポイント
- 押し安値・戻り高値で引く
- 何度も止められているところで引く
- キリのよい数字で引く
◎チャートに波を描こう
- 水平線をいきなり引かず、まずはチャートに波を描く
- 波は山と谷に引く
◎水平線の使い方と注意点
- サポートライン・レジスタンスラインを背にしたロングとショートが基本
- サポートライン付近でのショート、レジスタンスライン付近のロングは厳禁
- サポート・レジスタンスラインから離れたエントリーは控える
- 水平線にタッチした瞬間のエントリーは控える
水平線を身につければ、あなたの強力な味方となるでしょう。
ぜひ検証を重ねてモノにしてください。
川西 能司
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