投稿日:2018年6月10日 | 最終更新日:2022年12月3日
もしかしたら、あなたはすでにこの書籍の存在を知っているんじゃないでしょうか?
ボブ・ボルマン氏が書いた書籍『FX5分足スキャルピング』です。
おそらくネットの他のサイトを見て、「信頼できるのか?」「役に立つのか?」「評価・感想は?」などと思って、
このページに訪問してきたのではありませんか?
ネット上の評判は、
- 「プライスアクションの基本を知るだけでも価値がある」
- 「ポジポジ病がなくなる」
などと、概ね好評なんですが、一部、
- 「初心者向けではない」
- 「読むのが難解」
と低評価の人もいました。
本書は、著者も書いてましたが『万人向けではありません』。
はっきりといって、あう・あわないがはっきりしていると思います。
僕自身は、トレードで非常に役立ちました。
だからといって、あなたにもそのまま使える知識になるかはわかりません。
そこで、僕がこの本読んで『よかった点・悪かった点』を正直に紹介していきます。
本を購入するかどうかお悩みの方に参考になればうれしいです。
というわけで、まずは個人的に「ここがおススメ出来る!」と感じた5つのポイントを紹介します。
そして最後に「ここが残念!」というのを紹介しますので、是非最後までご覧ください。
…ですが、その前にこの本が「どんな書籍なのか」、ぼくが実際にこれを読んで「得た成果」などを紹介していきます。
概要:『FX5分足スキャルピング』ってどんな書籍?読んでどういう成果が得られたの?
名著『FXスキャルピング』の後継著書
著者のボブ・ボルマン氏は自己資金のみで投資している独立系トレーダーで、その創意性と実用性で多くのトレーダーから支持されています。
この本の前に『FXスキャルピング』という書籍をだして圧倒的な人気を得ました。本書はプライステクニカルトレードに関する第2弾で、より実践的な内容が詰まった一冊となっています。
実際ぼくが購入したのは2015年でしたが、当時はまだ、聖杯探しやらインジケーターをイジりながらやっていたので、プライスアクションという技術は、非常に刺激になったのを覚えています。
ちなみに『FX5分足スキャルピング』は『Understanding Price Action-practical Analysis of the 5-Minute Time Frame』の翻訳本ですが、原書は5分足を使ったプライスアクション分析となっており、どこにもスキャルピングなんて書いてありません。だから間違ったイメージを持ってしまいがちですが、1日何回もトレードする手法ではありません。(1分足なら別だと思うけど)
逆に言えば、じっくりパターンができあがるのを待って、 リスク・リワードが見込める保守的なトレードを身に付けたい方には最適な書籍とも言えます。
インジケーターが必要なくなった!
これは僕の実体験です。
『FX5分足スキャルピング』を読む前は、インジケーターの意味も理解せず「これでもか!」ってぐらい表示していたんですよね。ぼく以外にもそういう人は非常に多いと思います。
そこから色々なサイトや書籍を読み漁り、水平線の重要性に気付いてきました(おっせ〜)。それでも、インジケーターをチョロチョロ見て、「あーでもない。こーでもない」って複雑に考えてましたね。
そんな時に、この書籍を読んで『プライスアクション』を覚えれば、シンプルなチャートで勝負できることを感じました。
しかし、ぼくはここでまた元に戻ってしまったのです。プライスアクションに徹底的に勉強すればよかったのに、
「もっと簡単で稼げる手法があるんじゃない?」とまだ聖杯探しの旅に出てしまいました。
そして、また1年ほど色んな手法に手を出しては辞め、手を出しては辞めを繰り返し伸び悩んでいた時に、
ようやく戻ってきたのがこの書籍です。
「もうインジケーターはいらない。ライン一本で勝負していこう」と腹を決めていた時期だということもあり、
再び読み直してみると、目からウロコ。宝の山でした。
この画面は、昔ぼくが利用していたチャートです。ご覧の通り、いっぱい表示させてなんとなくそれっぽいです。
でも、今見ても何を判断したくて表示していたのか意味がわかりません(笑)
しかもこれをコロコロ毎月変えていましたから、基準すらできあがりません。
基準がないので統計もとりようがないですよね。
そして、こちらが現在のチャート。移動平均線1本と水平線のみのシンプルさです。
エントリーするときは、これに加えて斜め線を僕の場合は活用します。
今まで見ていたのは、インジケーターでした。でもプライスアクションは値動きをみます。
この見方を身につければ、どの時間足でも通貨でも活用できます。
「プライスアクションって難しい。覚えることが多そう」
と思う人は多いかと思います。
ネットで『プライスアクション』って調べると、本当に驚くほどたくさんの情報がでてきますよね?
でも本書では抑えるべきプライスアクションを7つの原則のみで解説してくれています。
この原理原則の素晴らしいところは、
全てを活用できなくても、1つ意識するだけでアナタのトレードが劇的に変化することです。
(引用:ボブ・ボルマン著ーパンローリング社『5分足FXスキャルピング』P18より)
例えば僕自身の場合、この7つの原則のうち主にトレードに取り入れているのは、
『ダマシのブレイク』と『天井への試し』です。
この動きを意識するだけで無駄なトレードがグッと減りました。
僕のブログでシナリオやエントリーを公開していますが、急な値動きはほとんど無視しているのがわかるかと思います。
大きくとれなくても、安定して勝率が高そうなポイントを見極めていくのが意識できるようになりました。
僕がこのスキルを身に付けるのに大きく貢献してくれたのが『FX5分足スキャルピング』はプライスアクションの基本スキルが学べて、チャートをシンプルに見ることができるようになるので、中級者以上の方にはオススメできます。
…
ここからは本書のレビュー『「これはオススメ出来る!」と感じた5つのポイント』になります。
1.目先の値動きに慌てることがなくなった!
ブレイクのビルドアップの仕方を見れば、ブレイクが起こることだけでなく、どれくらいの勝率かという情報も提供してくれる。
また、最高のチャンスはブレイクアウトの水準をめぐる目に見える攻防に端を発することがよくある。比較的狭い価格帯で、ブル派とベア派の攻防を示す陰線と陽線が交互にできている場面である。この主導権争いは、いくつかの方法で表面化するが、チャートのスイートスポットは、たいていは何本かの足があれば突き止めることができるし、それがあれば大きく動く可能性を秘めているかどうかも分かる。このようなクラスター(複数の足の塊)の進展のことを、ビルドアップとかブレイクアウト前の圧力と呼ぶ。(引用:ボブ・ボルマン著ーパンローリング社『5分足FXスキャルピング』P20より)
突然ローソク足が勢いよく動きだすとそのまま上がっていく(又は下がっていく)感覚になり、
「乗り遅れたくない・利益を逃したくない」という衝動から注文を入れた挙句、結果逆に動いたことありませんか?
直近高値(安値)を越えてからのブレイクアウト狙ったのに戻ってきて反対方向に動いたことありませんか?
逆に怪しんで静観していたら、グイグイ動いて置いてけぼりをくらったことありませんか?←なんで今度は伸びるんだよー
相場のことなので完全に動きを把握することはできません。
当然全てをトレードすることなんてできません。
でも、そのブレイクが失敗する確率が高いのか?低いのか?ここを抜けたら大きく動き出しそうだという事前の値動きを、本書により知ることができました。
それではその事前の値動きがなにかというのが、ボルマン氏のいうところのビルドアップなのです。
(引用:ボブ・ボルマン著ーパンローリング社『5分足FXスキャルピング』P20より)
このビルドアップがあるかないか、これにより勝率の高いセットアップなのかどうかが判断できるようになりました。
いいかえれば、このビルドアップがない動きであれば見送ればいいだけになったので落ち着いてチャートをみることができます。だって失敗する確率の方が高いですからね。
もちろん、そのまま行ってしまうことも相場なのであります。
でもぼくが目指すのは、安定した収入を確保することだと考えると目先の1勝などは微々たるもの。
より勝率の高いセットアップに注力することにより安定力も増してきました。
2. 本書に書かれれている一部の知識だけを活用しても十分な結果が得られた!
一応、僕は本書を何度も読んでいるのですが、書かれているテクニックを全て習得するには多少の時間と経験が必要かもしれません。
- ダブルの圧力
- 支持線と抵抗線
- ダマシのブレイク、ティーズブレイク、適切なブレイク
- ダマシの高値と安値
- プルバック(押しと戻り)の反転
- 天井への試し
- キリの良い数字の効果
プライスアクションは上の原則が中核をなしています。7つしかありませんが、一つ一つを理解してトレードに組み込むには、やはり日々の勉強や検証が大事だと思います。
しかし、著者がいうようにこの手法をすべて使って欲しいということではなく、プライスアクションの概念やテクニックはあくまで構造的な基盤であり、必要に応じてカスタマイズして使っていけばいいのです。
というわけで読了はしたものの2、3割程度(それ以下かも)しか本書のテクニックは使っていません。
それだけでも十分にマーケットに通用するのです。
例えば僕の場合は、ビルドアップのない値動きに反応することはなくなりました。
つまり、無駄なトレード(損失)を防ぐ術を覚えたということは、それだけでも大きな前進です。
それだけではなくビルドアップがない動きでは失敗する確率が高いのがわかるようになったので、
反撃する方法(逆張り)も手に入れることができました。
一つのテクニックだけでもこれだけのメリットを本書より得ることができたのです。
全部をマスターするのではなく、自分に使える・使いやすいものを取り入れていけばいいだけです。
3. チャートがシンプルであり、どの時間でも活用できる!
これは本書を絶賛する理由の一つでもありますが、本書を購入した一番の動機でもあります。
FXを始めてから僕は聖杯探しに夢中になった時期がありました。移動平均線、MACD、RSI、ストキャスやら有料のツール等ありとあらゆるものに手をだしました。
どれも少し試しては勝てなくて止めてしまう。当然上手くなるはずもありません。
聖杯探しに疲れてしまった僕は、思い切ってインジケータなど全部消しました。そう!すっぴんのチャートです。
そうするとあら不思議?勝つために色々インジケータとか表示していたのに、無い方がチャートが見やすくて勝てることが増えてきたのです。
「もしかしたらシンプルなチャートでいけるかもしれない」
これがプライスアクションに興味を持ち始めた第一歩でした。
そんな時に出会ったのが、この一冊!ただ正直に申し上げるとすぐには理解ができなくてしばらくは本棚に封印されてましたが…
でも時期が経ち改めて見直すと、自分のトレードに凄く活かせるなということに気づきました。
そこからは貪るように読むようになりました。
今では僕のチャートは水平線と移動平均線のみになりました。
エントリーするときもラインを引くだけ。そして、どの足だろうが同じやり方でエントリーできます。
4. 6ヶ月分の膨大なプライスアクションデータ
僕はトレードに関する多くの本を読んできましたが、トレードルールがあっても、実例が一つや二つしか載せていないことがほとんどです。
情報をインプットしたら、その分アウトプットしなければモノにできません。
その点、この書籍では日中の連続したチャートで、プライスアクションのおさらいができます。
その量なんと6ヶ月分!
しかも仕掛けポイントや見送るポイントなどの解説も記載されているので、勉強にはもってこいです。
本を読んで終わりではなく、自分のモノにできるようにまで考えられています。
(引用:ボブ・ボルマン著ーパンローリング社『5分足FXスキャルピング』P291より)
5.著者がプライスアクショントレードの第一人者
冒頭で著者ボブ・ボルマン氏が「FXスキャルピング」という書籍をだして大人気となったと書きました。プライスアクションを勉強したくても、わかりづらい・読みにくい・実例が少ない書籍が多いです。
そのなかでボブ・ボルマン氏の書籍は比較的読みやすくて、なにより実例が豊富。あなたが本気でプライスアクションを極めたいと思っているなら第一人者・成功者である人の思考を学ぶことが成功への一番の近道なんです。
著書で述べられているように、万人向けの手法ではないですが、1割でも彼から知識・テクニックを盗めれば値ごろ感でトレードしていた頃に比べれば遥かな進歩です。
ブログなどのネットや国内の書店に置かれているプライスアクションの本を片っ端から読んでも本書と同等の知識を得ることは出来るかもしれませんが、効率的ではありませんよね。本書にはプライスアクションに必要な知識が凝縮されているので無駄なく効率的に学ぶことが出来ます。
他にもトレードを見送るときやボラが低いときのトレードも網羅
エントリーのセットアップ条件が成立しても、環境によっては勝率が高くないケースもあります。トレードで安定して収益を伸ばしていくためには、エントリーの回数を増やすのではなく、勝率の高そうなところを見極めていくことが大事です。
想像してみて下さい。あなたのトレードで週1回〜2回でも不要な損失を避けることができたとしたら…そして、それを続けることができたとしたら、月単位での収支は好転するのではないでしょうか?
本書では典型的な間違いとして、
- 強いトレンドや支配的な方向と反対方向に仕掛ける。
- トレンドと同じ方向でも、すぐ上やすぐ下に抵抗があるところで仕掛ける
- 実際にはレンジ相場なのに、トレンドに乗るつもりで仕掛ける。
- 25EMA (指数平滑移動平均線)からかなり離れたところで仕掛けたり、切りの良い数字の逆マグネットを無視して仕掛けたりする。
- 平均以上の値幅のある足が多い荒れたマーケットで仕掛ける。
- 強力なパワーバーやクラスターを含むプルバックの反転で仕掛ける。
- ほとんどあるいはまったくビルドアップがないのにブレイクやマーケットが反転する前に仕掛ける。
が紹介されています。
上記を意識してチャートを見るだけでもずいぶんと違ってくるのではないでしょうか?また言葉の定義だけでは難しいですが、見送るケース事例と説明で勉強がしっかりできるから安心です。
見送りもけっこうあるし…
(引用:ボブ・ボルマン著ーパンローリング社『5分足FXスキャルピング』P217より)
この1冊だけで成果の出るプライスアクショントレードの知識がある程度は身につく
プライスアクショントレードはとても奥が深く、突き詰めれば広辞苑のような本が出来上がると思います。坂田五法だってプライスアクションの一つですから、極めるとなるとローソク1本1本の動きを突き詰め必要も出てきますし、より高みを目指すならの更なる知識も必要です。つまり、478ページでまとまる内容(しかも事例付き!)ではないんです。
しかし、本書はプライスアクションを学ぶ上で、7つの原理原則に絞ってチャートを分析からエントリーパターンまでを解説しているので、478ページというサイズでも、僕の場合、想像以上の収穫を得られました。短期間で多くを学べるのは他に本業をやっていて、勉強する時間が足りない人にはありがたいですよね。
また、僕が知る限りではたった1冊でプライスアクショントレーダーとしての土台が完成するぐらい内容が凝縮された書籍は本書だけなんですよね。プライスアクションについてもっと詳しく書かれた書籍は他にもありますが、恐ろしく難解だったり、実例が少なかったりがほとんどなんですよね。だから、「どうやってプライスアクショントレードを学んだら良いのか分からない」という人には本書は救世主になるはずです。
本書が残念な部分
本書で僕が残念だと思う部分が3点あります。
1点目は、初心者には難しい
『ダウ理論』『トレンドライン』『サポート・レジスタンスライン』などの説明は一切ありません。知っていて当然ぐらいなのかもしれません。資金管理とかもほとんどないし…ですから、トレード始めたばかりの人はチンプンカンプンになる恐れがあります。基礎知識は事前に必要かなと思います。
2点目は、ラインの基準があいまい
僕自身、この書籍を10回以上は軽く読んでいますが、いまだに『なぜ、この波のカウントをとるのだろう?』『なぜ、ここではラインを引いて、あそこでは引かないのか?』という疑問が湧いてきます。
おそらく著者との解釈の違いでしょうが、あなたも全く同じようなトレードをするというのは難しいと思います。裁量トレードなので、致し方ない部分ですが、もう少し丁寧に書いて欲しかった…
3点目は、電子書籍は読みにくい
僕は気に入った本があれば、紙ベースと電子書籍の2冊を買います。家用と外出用です。紙ベースでしか読まない人にはまったく関係ありませんが、電子書籍は読みづらいです。
チャートと解説を見ながら読んでいくので、「何ページのチャートでどうのこうの」と書かれていても、該当ページにいくのが面倒です。繰り返し読むのに電子書籍版は向いていないと思います。あくまで個人的感想ですが…
こんな人は本書を買わないでください
アマゾンのレビューとかにも書いてありましたが、この本は繰り返し読まないと身につきません。僕自身も10回じゃきかないぐらい読んで、ようやく半分ぐらい理解したぐらいです。実践でトレードに使える部分なんてさらに下がります。
今、この事実を知って、あなたはどう思いましたか?
「マジかよ。10回以上読むとかウザいわ・・・」
という感情を持ってしまった人は本書をオススメ出来ません。
なぜなら、本書は『簡単に』『楽に』『素早く』稼ぐための書籍ではないからです。値段もそこそこしますし、パラパラと読んでやめるぐらいなら、最初から余計な情報はいれないほうがいいかもしれません。もしかしたら、プライスアクション自体が性に合わない人もいるかもしれませんね。
スキルを磨くのに労を惜しまない人にオススメです。
いかがだったでしょうか?
トレードで生き残っていくことが決して楽な道でないことに気づいた方や純粋に価格の動きだけで勝負していきたい方には、自信を持っておススメできます。
川西 能司
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