投稿日:2020年5月25日 | 最終更新日:2021年10月2日
「ダウ理論ってよく聞くけど、ホントに勝てるの?」
「ダウ理論試してみたけど、全然勝てない…」
このように思っている方も多いでしょう。
ボクはダウ理論を「買う相場なのか、売る相場なのか」の目線の固定に活用しています。
エントリーにはラインやフィボナッチも使っていますが、単純にダウ理論だけでも勝つことはできるのでしょうか?
そこでダウ理論を活用したシンプルなルールで検証してみました。
この記事を読むことで、
-
ダウ理論だけでトレードに勝てるかどうか
-
ダウ理論の欠点
が分かります。
今回はほとんど裁量を含めないシンプルなトレードルールで、メジャー通貨ペアを2年分検証しました。
ですから、再現性の高い数値になっていると思います。
また検証結果を踏まえて、トレーダー歴7年のボクの視点でダウ理論の注意点も解説しています。
少しでも参考になればウレシイです。
Contents
そもそもダウ理論とは
ダウ理論とは、19世紀後半にアナリストとして活躍したチャールズ・ダウという方が提唱した理論です。
トレーダーの多くは、このダウ理論を意識しています。
一体なぜでしょう?
それは、ダウ理論の基本的な考え方に答えがあります。
ダウ理論には6つの基本原則があり、そのなかの一つに『平均はすべての事象を織り込む』というものがあります。
カンタンに言えば、「チャートがすべてを物語っている」ということ。
極論すると「FXはチャートを見れば分析できる」ということになります。
この考え方がなければ、チャート分析(テクニカル分析)は成り立ちません。
だから、多くの投資家がダウ理論を重要視しているのです。
ダウ理論の最大のメリットとは
ダウ理論には6つの基本原則があります。
- 平均はすべての事象を織り込む
- トレンドには3種類ある
- 主要トレンドは3段階からなる
- 平均は相互に確認されなければならない
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは明確なシグナルが発生するまで継続する
この基本原則は、いずれも欠かすことができません。
ただし、一つ一つ説明すると本題から外れので、細かい説明は別記事をご覧ください。
基本原則はトレードにもちろん活用できますが、ボクが考えるダウ理論の最大のメリットは『目線が固定』できる点だと思います。
ダウ理論では、目線の切り替えを【押し安値・戻り高値】で判断します。
例えば押し安値を抜けない限りは、買い目線が続きます。
つまり、押し安値を下に抜けるまでは『買い目線で固定』できるということです。
-
高値を更新した波の安値を「押し安値」
-
安値を更新した波の高値を「戻り高値」
高値を更新できなかった安値はただの「弱安値」
安値を更新できなかった高値はただの「弱高値」
ダウ理論のみでトレードを検証してみる
検証するにあたっては次の条件で行いました。
-
波のカウント:ローソク足5本によるスイングハイ・ロー
-
環境認識:日足・ 4時間足・30分足
-
セットアップ:日足と 4時間足の目線が一致している。
-
エントリー準備:30分足の押し目又は戻り。つまり、買いの場合は戻り高値、売りの場合は押し安値ができるのを待つ。
-
エントリーポイント:戻り高値・押し安値を実体で抜けたらエントリー
-
利確・損切り:戻り高値・押し安値を抜けたら(ヒゲも含める)
画像で説明します。
【セットアップ】
赤枠で囲っている部分が日足の買い目線ゾーン
日足の買い目線ゾーンの中の 4時間足の買い目線ゾーン
目線が一致しています。
【エントリータイミング】
30分足で(セットアップ)押しを待ちます。
押しの定義を戻り高値(青色ライン)ができることとルール付け
戻り高値ラインが確認できれば、戻り高値ラインのブレイクを待つ。実体で抜ければ次の足でエントリー。
利確・損切りは【押し安値・戻り高値】を抜けたら。
高値・安値の判断に少し裁量が入りますが、非常にシンプルですね。
検証にあたっては上記のルールを適用し、USD/JPY・EUR/JPY・GBP/JPYのメジャー通貨で運用しました。
また、期間は2018年6月〜2020年5月の2年間です。
◎検証結果
USD/JPY |
EUR/JPY |
GBP/JPY |
|
総トレード回数 |
49回 |
62回 |
48回 |
勝ちトレード数 |
17回 |
26回 |
25回 |
負けトレード数 |
31回 |
36回 |
23回 |
勝率 |
34.69% |
41.93% |
52.08% |
トータル損益 |
446.7pips |
319.3pips |
1046.6pips |
最大連勝 |
3回 |
5回 |
5回 |
最大連敗 |
9回 |
6回 |
3回 |
最大獲得pips |
451.6pips |
210.8pips |
489pips |
最大損失pips |
113.7pips |
75.2pips |
323pips |
(注)スプレッド・スワップポイントは考慮していません。上記はあくまでも個人の検証結果です。決して結果を保証するものではございません。
ダウ理論の欠点
先ほどの検証結果の結論です。
- どの通貨でもトータルで利益となった
- ダウ理論だけのルールでも利益を残すことができる
- 優位性がある環境といっても勝率は高くない
- 複数の時間足が同じ方向にそろうケースは少ない
- どの通貨でも大きなトレンドの利益が占めている
どうですか?
ダウ理論だけのトレードルールでも勝つことはできるのがお分かりいただけたでしょうか?
では、なぜ勝てないという人が多いのでしょうか?
それはダウ理論の注意点を知らずに運用しているからだと思います。
先ほどの検証結果とボクの経験則を踏まえると、ダウ理論には明らかに欠点があります。
ダウ理論の欠点
- シグナルが遅すぎる
- レンジ相場では面白いように負ける
- ダマシが多い
①シグナルが遅すぎる
検証結果でも明らかだったのは、シグナルが遅すぎる点です。
特に決済(利確)に関しては、[押し安値・戻り高値】では遅すぎます。
100pips以上の利益が、結局は損失になってしまったケースも多々ありました。
ダウ理論での目線の切り替えをもって、エントリー・利確・損切りポイントにする場合は、シグナルが遅くなることがあると知っておきましょう。
今回の検証は誰でもできるようにシンプルなルールにしたので、仕方がありませんが、実際の運用では利確のルールを修正するだけでもかなり結果は変わっていたと思います。
②レンジ相場では面白いように負ける
検証結果でも明らかですが、どの通貨ペアも1、2回の大きなトレンドで利益の大半を占めています。
逆にいえば、レンジ相場ではほとんど勝つことができません。
特に日足などの大きな時間足が、レンジ気味の環境であれば、ビックリするぐらい負けます。
事実、USD/JPYやEUR/JPYなどは大きな流れではレンジ気味の環境であったため、いくら上位足と同じ方向でエントリーしても負けてばかりでした。
しかし、レンジ相場でどれだけ負けても、たった1、2回のトレンドで利益を残すことができます。
つまり、ヒントはそこにあるのです。
レンジ相場にいかに手をださないか、またはレンジ相場だと判断できるかが鍵といえます。
③ダマシが多い
ダウ理論はある程度経験を積んでいるトレーダーであれば、誰でも知っています。
言いかえれば、どこが注目されている価格帯なのかが分かっているということです。
プロはそれを利用してダマシを仕掛けてきます。
例えば、押し安値を下に抜けたら売り目線が意識されるというのが分かっているので、一度押し安値を下抜けさせてトレーダー達の売り仕掛けを誘います。
その後、買いを入れて売りでエントリーしたトレーダー達の損切りを巻き込みながら大きな動きにするといった具合にです。
検証のなかでも、エントリーした瞬間に逆の動きをすることが多々ありました。
そういったダマシがあると分かっていれば、「ハイハイ、損切りね」と割り切ることができます。
しかし、ダマシのことを知らなければ、「なんだよ、ダウ理論使えねぇ」となってしまうでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ダウ理論だけのシンプルトレードでも利益を残すことはできるというのがお分かりいただけたと思います。
一方、ダウ理論の欠点を知らずに運用すると、相場環境によっては負け続けることもあるでしょう。
ですから、ダウ理論を使ってトレードする場合は、その欠点を補って運用することがポイントになります。
大きなトレンドのみ使ったり、利確のルールを変えたりするだけでも大幅に勝率・収益は改善されるでしょう。
あなた自身もぜひ検証を重ねて、ダウ理論を有効活用してみてください。
なお、今回の検証にあたってはForex Tester4を利用しました。
検証の時間の大幅な削減・効率化につながりますので、心強い味方として持っていても損はありませんよ。
川西 能司
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