投稿日:2018年7月4日 | 最終更新日:2022年12月3日

「まずは生き残れ。儲けるのはそれからだ」
伝説の投機家ジョージ・ソロスはそう言いました。

きっとあなたも僕と同じで、FXでお金持ちになる夢を抱いて、トレードの世界に入ってきたのだと思います。

家庭を少しでも楽にさせたい。
将来が不安なので貯蓄を増やしたい。
会社を辞めて専業トレーダーになりたい。

そんな思いを抱いてこられたのでしょうか?
だとすれば、なおさら僕と一緒ですね(^_^)

でも僕の場合は、稼ぐことを夢見て入ってきたこの世界で、逆にお金を失くしてしまいました。
いや、失くし続けたといったほうが正しいかな?

口座資金を飛ばしては入金の繰り返し…

始めてから3年間で使ったお金を計算するのも怖いぐらいです。
これにはトレードで失ったお金だけでなく、商材とかに使ったお金も含まれます。

ようやくトレードに手ごたえを掴んだのは、3年経ってからなんで、そう考えるとトレードで稼げるようになるには時間がかかるものだと思います

もちろん凄い人は最初から稼いだり、すぐに上手くなったりする人もいるかもしれませんが、
僕みたいな凡人だと多くの過ちを繰り返して、少しづつ負けなくなってきたというところです。

冒頭のソロスの言葉を理解するのに、僕はあまりに多くの時間とお金を費やし過ぎました

だから、この記事では僕と同じ過ちをしないよう「生き残るため」に、知っておくべき破産確率のことをご紹介します

トレードで生き残るための自己啓発サイクル

あなたはトレーディングで成功したいという考えから、「生き残り」たいという考えに変わらなければならない。 〜ブレント・ペンフォールド〜

僕が初心者だった頃は、
「今日は〇〇pips稼ぐぞ」
「昨日の負けを取り返す!」

そんなことばかり考えていました。

そんな考えだから
「どうすればもっと稼げるか?」
「稼げるルールはないだろうか?」

という意識になっていました。

でも今は生き残ることを第一に考えてトレードしています
なぜなら、生き残ることが成功につながることだと分かったからです。

 

生き残れば、トレードを続けられます。

トレードを続けられれば、ヘタなりに『経験』と『知識』がついてきます。

『経験』と『知識』がつけば、トレードが上達してきます。

上達すれば少しづつ資金が増えてきます。

 

そもそもトレードで稼ぎ続けるようになるには時間が掛かるものなんです
一回のトレードで勝つのは簡単でも、勝ち続けことが難しいのがトレードです。

 

例えば、プロ野球選手はレギュラーを3年間張ってこそ一人前といわれるそうです。
1試合だけ活躍した、1年だけ輝いて消えていった選手なんてザラです。

 

トレードでも一緒です。
「わずか半年で〇〇〇万円稼いだ!」
「1回のトレードで〇〇pips獲れた」
なんてよく聞く話ですが、大事なのはそれが続いているかどうかですよね?

 

ではトレードで生き残るためには、何が必要なのでしょう?

システムトレード基本と原則』の著者によれば、
5つのサイクルに集中することが大切だと述べられています。

  • 破産リスクを避ける
  • トレーディングの聖杯を受け入れる
  • 単純さを追求する
  • ほとんどの人が恐れるところを進む
  • 期待値を検証する

 

この記事では、この中でまず最初に知っておかなければいけない破産リスクについて説明します

補足
5つのサイクルのなかで、『トレーディングの聖杯を受け入れる』とあります。これはトレードで必ず勝つという意味での『聖杯』ということではありません。むしろ逆で、「聖杯なんてないから、期待値の高いトレーディングを作りましょう!」ということです。

 

トレーダーの破産確率とは?

 

破産確率とは非常に単純で、あなたが大損をしたためにトレードをやめる見込みのことです。

だから、トレードをやめなければいけない最大のリスクを避けることは、あなたの最優事項でなければいけません。

破産しないで済めば、生き残ってトレードで成功する確率が高まります

破産確率は必ずしも口座資金の全額を失うことを意味するわけではありません。

あなたのリスク許容次第です。あるいは証券会社の必要証拠金になるでしょうか?

口座資金の50%の損失の場合もあるし、75%、100%の損失の時もあります

まずは自分の破産ポイントを設定しましょう

破産ポイントは、トレードをやめる(できない) 資金の限度です。

破産しないためのファーストステップは、破産ポイントに達する確率を計算することです。

あなたのトレードで破産確率が高いようであれば、下げることを考えないといけません。

確率を下げることが、生き残るための重要な一歩を踏み出すことになります。

基本的に、1回のトレードでリスクをとる資金の割合を上げるほど、破産確率は高まります

例を使って説明しましょう。

剛田さんと野比くんのケース

ここに2人のトレーダー、剛田さんと野比くんがいます。

2人とも「ミナモト流トレード」という、単純なシステムトレードを使うことにしました。

「ミナモト流トレード」の平均利益は平均損失と同じで、勝率は56%

剛田さんも野比くんも資金は10万円

破産ポイントを資産の100%損失(10万円)と決めました。

 

剛田さんは、とても強気な性格で、1回のトレードにつき2万円のリスクをとることに決めました。

野比くんは、弱気な性格なので、1回のトレードにつき1万円だけリスクをとることにしました。

 

したがって、剛田さんはトレードを始めて、5回続けて負けると破産します(2万円×5) 。

野比くんが破産するには、10回続けて負ける必要があります(1万円×10) 。

剛田さんと野比くんが自問しなければならないのは、自分の破産確率が何パーセントなのか。

つまり、いつ10万円を失うかということです。

この問いに答えるためには、

破産確率の公式で確認しよう。

システムトレード基本と原則』で紹介されている破産確率の例題を参考に説明しましょう。

W=勝率

L=敗率

U=口座資金のユニット数

勝率と敗率は問題ないかと思いますが、『ユニット数』という聞きなれない単語がでてきました。

考え方は非常に単純で、『資金÷リスク』=ユニット数 になります。

先ほどの例でいうと、

剛田さんのユニット数は5ユニット(10万円÷2万円)

野比くんは10ユニット(10万円÷1万円)

ということになります。

2人の破産確率

では、これを踏まえて2人の破産確率を見てみましょう。


まずは剛田さんから

勝率=56%

敗率=44%

口座資金のユニット数=5

破産確率={[1-(0.56-0.44)]÷[1+(0.56-0.44)]}5

={[1-(0.12)]÷[1+(0.12)]}5

={0.88÷1.12}

={0.78571428}5

=0.29944925131

約30%


続いて野比くん

勝率=56%

敗率=44%

口座資金のユニット数=10

破産確率={[1-(0.56-0.44)]÷[1+(0.56-0.44)]}10

={[1-(0.12)]÷[1+(0.12)]}10

={0.88÷1.12}10

={0.78571428}10

=0.0896698541

約9%


同じシステムを使っても、リスクの取り方次第で結果はこんなにも違うというのがわかったかと思います。

ミナモト流トレードの勝率は56%ですが、このシステムを使っていれば2回に1回必ず勝てるとは限りません。相場ですから、5回連続で負け続けることもあります。場合によっては10回連続で負けるかもしれません。

破産確率9%だったら十分でしょうか?

 

想像してみて下さい

ここに10人のトレーダーがいて、全員「ミナモト流トレード」を採用したとします。

みんながユニット数を野比くんと同じ『10』で運用した場合、

1人は破産する運命にあります。

 

これって結構高くないですか?

 

この確率で運用を続ければ、いつ死神の釜が自分に向いてくるかビクビクしながら相場に向かうことになります。

単に時間の問題にすぎません。

結論をいえば、いかに0%に近づけるかがポイントになります

まずは自分の破産確率を知ることから始めましょう。

そして、あなたが意識しなければならないのは、可能な限り破産確率を『0』に近づけること意識することです

お詫び

本来なら『破産確率』を一発で計算できるボタンみたいなものを設置したかったのですが、その技量がまだありません(泣)

計算式まで書いときながら不親切ですいません…

ごめんよ。

 

ぼくの場合

たとえばボクの場合。
資金は15万円としましょう。

破産ポイントは、資金の50%

ワントレードでとる最大のリスクは、総資金の2%(15万円×2%=3,000円)に設定しています。

ですから、口座資金のユニット数=25(75,000÷3,000)ということになります。

 

これを踏まえて、

勝率は例と同じで、56%(ほんとはもう少し高い)

敗率44%

ペイオフレシオも1:1と仮定した場合,

 

破産確率={[1-(0.56-0.44)]÷[1+(0.56-0.44)]}25

={[1-(0.12)]÷[1+(0.12)]}25

={0.88÷1.12}25

={0.78571428}25

=0.0024077764

約0.2%

だいぶ『0』に近づきました。実はこれでもまだ高いのですが、

ワントレードでリスクを大きくとる危険性はお分かり頂けたかと思います。

リスクがわかれば、ロットを安易に上げる危険性も損切りしない愚かさも理解できますよね。

 

もちろん、この運用方法だとユニット数を増やせば利益も下がります(ペイオフレシオが1対1だから)

でも大事なことは「まず生き残ること」

儲けは後から付いてきます。まずは破産リスクを下げることに集中しましょう

雑談
損切りは、資金の2%って決めたのはいつだったけかな?僕の場合は、破産リスクを気にしてというより、損切りできない自分への戒めとして設定しました。口座ユニットとか知ったのはだいぶ後でした。

というより自分の勝率とかペイオフレシオなんて何も気にしていませんでした。相場の入り口にも立っていなかったんですね( ゚д゚)

 

 

破産確率を減らす3つの方法

1回のトレードで、口座資金のうちのリスクをとる割合を減らすことが、いかに大切か分かっていただけたでしょうか。

ところで破産確率を下げるための手段は、上記を含めて3つ方法が考えられます。

  • 1トレード当たりでリスクをとる金額を減らす
  • 勝率を上げる
  • ペイオフレシオを上げる

 

今回の記事の例では、勝率56%・ペイオフレシオ1:1の条件で説明しましたが、

勝率やペイオフレシオが上がれば、もちろん破産確率も変わってきます

例えば、先ほどの2人の事例で、勝率が63%のシステムを採用したとします。


剛田さん

勝率=63%

敗率=37%

口座資金のユニット数=5

破産確率={[1-(0.63-0.37)]÷[1+(0.63-0.37)]}5

={[1-(0.26)]÷[1+(0.26)]}5

={0.74÷1.26}

={0.5873015873 }5

=0.06987243414

約7%


野比くん

勝率=63%

敗率=37%

口座資金のユニット数=10

破産確率={[1-(0.63-0.37)]÷[1+(0.63-0.37)]}10

={[1-(0.26)]÷[1+(0.26)]}10

={0.74÷1.26}10

={0.5873015873 }10

=0.00488215704

約0.5


当然確率も下がりますよね。

ただ勝率は自分ではコントロールできるシロモノではないと思いますので、個人的にはココをあまりこだわってもどうかとは思います。優位性があるところで勝負を仕掛けていくのは大切だと思いますが…

もう一点のペイオフレシオ(平均利益/平均損失)を上げることも破産確率に大きく影響します。ただし、こちらも利益を伸ばそうと思っても相場次第のところがあります。

僕が意識しているのは、ペイオフレシオ1:1より下で勝負しないこと。今では当たり前なんですが、最初のころは損切り幅が大きく、目標利益の方が小さいなんてことがよくありました。

この期待値に関する部分は別の記事で紹介していきたいと思います。

 

覚えておいて欲しいのは、

相場で唯一コントロールできるのはリスクのみだということです。

勝率もペイオフレシオも自分で数字は決められません。でもリスクは自分で決めることができます。

 

まとめ

相場では稼ぐことより、まず生き残ることが大切です。

そして生き残るためには、

  • 破産リスクを避ける
  • トレーディングの聖杯を受け入れる
  • 単純さを追求する
  • ほとんどの人が恐れるところを進む
  • 期待値を検証する

のサイクルを回していくことが大事です。

その中でもファーストステップは、自分の破産確率を知ること

破産確率を下げることで、生き残る確率が上がります。

生き残ることが成功への第一歩となります。

だから、あなたがまだ資金管理をなにも意識していないのであれば、

まずは自分の破産確率を抑えて『0』に近づけるようにリスクをコントロールしよう

 

 

この記事は、ほぼ本書の受け売りです。僕は資金管理の大切さを本書より教わりました。システムトレーダーだけでなく、全てのトレーダーに必要な知識が網羅されている書籍ですので一度目を通されることをお奨めします。

 

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川西 能司

川西と申します。 トレード歴10年目になるトレーダーです。 数々の失敗・挫折を繰り返し、今ではラインを活用したシンプルなトレードに落ち着いています。

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